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2018年6月13日 (水)

新潟日報公開講座『伝統からニューウェーブ~ニイガタの祭り~』

新潟日報みらい大学の第2回公開講座『伝統からニューウェーブ~ニイガタの祭り~』を、6月9日、村上市教育情報センター視聴覚ホールで聴講してきました。こちらに移住してきた人間として街を象徴する大イベント『村上大祭』について詳しく知りたいと言う気持ちと、少子高齢化に伴い全国で祭りの継承が難しくなっているという話など、そのあたりの情報について勉強したくて参加しました。

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基調講演は「祭りが持つ地域活性化の力」、講師はお祭り評論家の山本哲也さんでした。話題として上がったのはやはり若年層の参加者の減少。単純に人口の絶対数が減少しているだけではないんですね。参加者が減っている理由として「仕事が忙しい、上下関係がきつい、暑い・寒い」までは誰でも思いつくのですが、盲点だったのが「知らなかった」という意外な理由。「祭りを知らなかった」というのではなく「どうしたら祭りを行う側に入れてもらえるのかを知らなかった」という現状があるようです。

 

確かに、祭りの開催告知はあっても、参加者募集という情報はなかなか入手できないですよね。山本さんのお話では、にいがた総おどりをはじめ、ねぶた、盆踊り、阿波おどり、よさこいなど、盛り上がっているお祭りには「参加できる仕組み」が整っており、それをしっかり周知しているとのこと。外部から来た人間でも自身が参加できると思えば、それが祭りの盛り上がりにつながるということですね。

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また、「知らせる」という側面として基本的なことなのですが、観光客に対して「他者目線」で知りたいことを伝えているか、というお話もありました。例えばある人が「村上大祭」を見に行きたい!と思った場合、「運行地図、タイムテーブル、最大の見どころ、駐車場・トイレ・グルメ情報、交通手段、宿泊施設」などをストレスなく知ることができているのかを改めてチェックする必要があるということでした。

 

もう一歩、地域活性化に踏み込んだ話題として「祭りで移住者を呼び込む」という発想ではなく「移住者を呼び込み、祭りに入る導線を作る」という流れでなければならないという指摘もありました。祇園祭に代表される京都では、さまざまな地域から集まって来た大学生や専門学校生をアルバイトとして使って、参加者の少なくなった祭りを継続させ、その学生の一部が地域にそのまま暮らし続けているという事例もあるそうです。

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後半はトークセッション、「新潟の祭りのこれから」と題して山本さんに加え、桑原猛さん(村上まつり保存会理事長) 、能登剛史さん(新潟総踊り祭実行委員会 副会長/総合プロデューサー) 、関智也さん(浦佐毘沙門堂裸押合 浦佐多聞青年団団長)、4人のお話を伺うことができました。特に今回は村上市での公開講座の開催ということで、村上大祭についてフォーカスしたトークが中心でした。

 

村上大祭が抱える大きな課題として「ヒト・モノ・カネ」の3つについて、村上まつり保存会理事長の桑原さんからお話がありました。「少子高齢化と町内世帯数の減少」「伝統的技術や原材料の減少」「屋台等維持管理と大祭運営費用の減少」…。そしてこの3つの進行に歯止めがかからないならば、文化財保護という網の中でより良い方法を模索していく、「過去から引き継いだものを、未来へ引き渡すことが、現代を生きる私たちの役割」。

 

よそ者の自分としては、祭りをつないで来た推進力として「町内コミュニティの結束力」についてのお話がとても興味深かったです。19の町それぞれが「俺の町内が一番」「俺の屋台が一番」というようにライバル意識を持ちながら続けて来た。一方で、祭り継承に対しての危機感を共有する共同体として底力を発揮しつつある。今回の重要無形民俗文化財への指定を機に、祭りを担って来た町の人々が誇りを持ってくれたら…等々。

 

トークセッションの最後に、祭り評論家の山本哲也さんがお話ししていた「祭りは人を育てる」という言葉が非常に印象的でした。祭りは本来、見世物でも観光コンテンツなどではなく地域のためのもの、文化のひとつであることを非常に分かっている発言だなと思いました。もちろん地域の文化である祭りが観光客の誘致に貢献し、地域活性化に繋がればそれはそれで素晴らしいことだと思います

 

ただ、伝統の形を崩してまで続けることに意味があるのか、という意見もあるのは事実です。人口減少に伴い、祭りの存続は数多くの地域で直面する深刻な問題です。祭りを続けるためにどのように新しい仕組みを作って行くのか、どこまで伝統的なやり方との妥協点を見つけるのか、日本全体が直面している問題がこういうところに表出しつつあるのだなと実感した公開講座でした。

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